初年次教育が日本の大学を変える

ほとんどすべての大学が初年次教育を導入

この春(2008年3月)、初年次教育学会の発足に伴い会長に就任いたしました。私の勤務している同志社大学で行われた設立総会には、想像していた以上に多数の方に参加いただき、改めて初年次教育に対する関心の高さを実感したものです。

存知のとおり、日本で初年次教育の重要性が認識されるようになって、それほど時間が経っていません。もっとも、大学1年生に対してどのような教育を施せばいいかについての問題意識は、多くの大学関係者がずいぶん以前から持っていたものと思われます。

だからこそ、短時間で導入が進んだのでしょう。私もかかわった調査(国立教育政策研究所調査。2007年11月)では「初年次教育を導入している大学は 97%」という結果が出ています。また、この6月に文部科学省が発表した「大学における教育内容等の改革状況について」(2006年度)においても、7割を超える大学が初年次教育を導入していると回答しています。

このように、非常にポピュラーになったとはいえ、初年次教育はまだまだスタートしたばかりであり、課題が多いのも事実です。学会が設立されたのも、課題の抽出、研究、情報交換などを進めるのが大きな目的でした。本稿をご覧になっている初年次教育に関心を寄せておられる大学教員および職員のみなさんに対して、改めて初年次教育の意義および初年次教育の背景、問題点などについてお話したいと思います。

※上記文科省調査において初年次教育は「高等学校から大学への円滑な移行を図り、大学での学問的・社会的な諸条件を成功させるべく、主として大学新入生を対象に作られた総合的教育プログラム」と定義され、いわゆるリメディアルは含まれていません。私自身もリメディアルは初年次教育とは別物と考えています。

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山田 礼子氏(やまだ れいこ)

同志社大学文学部卒、カリフォルニア大学ロサンゼルス校教育学研究科修了(Ph.D)。プール学院大学助教授を経て現職。専門は高等教育、継続教育、初年次教育。ことし3月に発足した初年次教育学会の会長を務める。『一年次(導入)教育の日米比較』『社会人大学院で何を学ぶか』など著書多数。