キャリア教育の充実で高まる大学の“教育力”

着実に進んだ「出口」をめぐる改革

ここ10年で大学の就職をめぐる状況は大きく様変わりしました。「買い手市場か売り手市場か」といったことではなく、就職に対する大学の取り組みに大きな変化が見られるのです。

まず、各大学とも単に求人情報等を提供するのではなく、カウンセリングなどを通じて、学生一人ひとりが「納得し満足した就職」ができるよう生涯にわたるキャリア形成の視点からサポートするようになってきました。担当部署も「キャリアセンター」等に改称、「キャリアデザイン(キャリア形成)」をテーマにした講座を正課として設ける大学も増加し、就職を学生のキャリア形成の一環としてとらえるようになっています。読者のみなさんの大学でも大きく変ったところが多いのではないでしょうか。 このように、大学にとっての“出口”に当たる部分での改革は着実に進んでいます。

もっとも、キャリア教育自体まだまだ発展途上であり、大学の取り組みにも手直しをすべきところが多々あります。キャリア教育の意義とあわせ、現状の問題点について、私見を述べさせていただきたい、と思います。

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川崎 友嗣氏(かわさき ともつぐ)

1960年生まれ。早稲田大学教育学部卒、同大大学院文学研究科心理学専攻修士課程修了ののち日本労働研究機構(現=労働政策研究・研修機構)に。キャリアガイダンス研究担当研究員を経て、97年より関西大学に。2003年より現職。現在、関西大学のキャリアデザイン担当主事も務める。主な論文に『米国におけるキャリア発達研究の動向』など。