第3弾「全入時代における小規模大学のサバイバル戦略」

第2回 │ 2005年、「聖学院ホームページ主義」を決定

次に、昨年ぐらいからずっと考えている「小規模大学のネット戦略」についてお話します。
皆さん、「Way Back Machine」というサイトをご存知ですか? これはアメリカのNPOが運営するアーカイブサイトです。世界中のサイトの変遷を記録しています。こんなサイトがあるのですよ。話題のグーグルも、30万台以上のサーバが世界中のサイトを常時駆けめぐり、検索用インデックスのアーカイブを作成し続けています。
「Way Back Machine」で調べてみると、わが聖学院大学のサイトも1998年から記録されていました。消したくても消せない。これが、ネットの世界の特色です。
2005年の夏のことですが、学校法人聖学院では2日間の理事会合宿を行い、そこで「聖学院ホームページ主義」というものを決定いたしました。「主義」と称していますが、別に「イズム」ではありません。インターネットの積極活用とその基本方針を決めたものです。5点あります。

(1).情報発信をインターネットを通じて行う。
(2).情報の公開を積極的に行う。
(3).インターネット、IT技術を教育に積極的に使う。
(4).生徒・児童・学生の安全確保にIT技術を積極的に使う。
(5).生徒・児童・学生にインターネット時代に必要な安全対策を教え、マナーを養う。

(2)では、大学の財務や定員の状況を公開する。(3)ではe-learningを推進。(4)では、安全確保のため「ホームルームとホームをホームページで結ぶ」。(5)では、たとえばSNS「Mixi」で18歳学生の日記(飲酒したとの書き込み)が事件になったように、ネットでのマナー教育やセキュリティ教育が必要というようなことです。
具体的には、この決定以来、私はこれを具現化するという宿題を背負ったわけです。

いかなるメッセージがターゲットに届くか

ここで、インターネットの話に進む前に、私どものような小さな大学ではどのような情報発信が望ましいと考えているかをお話します。
インターネットに力を入れる前は、ラジオでの広報を積極活用していました。ラジオはなかなか面白いメディアです。知らないうちに耳に入ってくる。テレビなど見えるものは目を閉じれば簡単にさえぎることができますが、聞こえてくるものをさえぎりません。
ラジオでは、聴こうとする心のアンテナさえあれば、どこかの誰かに届くのです。メッセージが込められていれば、必ずそのことにアンテナを持った高校生の心に届くと思います。「心の琴線」という言葉がありますが、それが存在するとすると、それは間違いなく多感な高校生の時代です。ですから募集広報はメディアを通じてメッセージを発信すべきなのです。
そういうことからラジオを使った広報を行っていましたが、ある時期から、このラジオCMの制作費用を、インターネット広報用に振り替えました。ラジオがメディアとして持っている特性と同じものをインターネットは持っていると考えたのです。積極的なメッセージを、見つけ出す人がインターネットの世界にもいるのです。

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山下 研一氏(やましたけんいち)

1996年、学校法人聖学院・広報センター所長として入職。全入時代を迎える中、大学改革の一環として“小規模”大学ならではの観点から独自の広報戦略を展開。広報をWebにシフトさせ、『2007年度大学ランキング』(WEBサイト総合)では全国39位に輝く。

山下 研一氏(やましたけんいち)